抜歯と同時にインプラントを埋め込む、抜歯即時インプラント
抜歯即時インプラントというインプラント治療をご存知でしょうか。
抜歯即時インプラントは、その名前の通り、抜歯と同時にインプラントを埋め込むインプラント治療です。
抜歯即時インプラントは、どのようなインプラント治療なのでしょうか。
今回は、抜歯即時インプラントについて解説します。
抜歯即時インプラントとは
抜歯即時インプラントってどんなインプラント?
抜歯したと同時に埋め込むインプラントのことです。
一般的なインプラントでは、抜歯してから1〜2ヶ月ほど、症例によっては6ヶ月ほどもかけて、抜歯したところを落ち着かせてからインプラントを埋め込みます。
ですから、抜歯即時インプラントなら、治療期間を大幅に短縮できます。
抜歯即時インプラントができる条件
どんな方でも、抜歯即時インプラントがうけられるわけではありません。抜歯即時インプラントを成功させるための条件があります。
抜歯になった原因が、歯周病である場合は、抜歯即時インプラントはできません。
歯周病は、歯周組織とよばれる歯を支える組織に歯周病菌が感染して生じる病気です。歯周病になると、歯を支えている歯槽骨という骨にも歯周病菌の感染が起こります。
インプラントは、その歯槽骨に埋め込みますので、歯周病になっていた場合、インプラントに歯周病菌が感染して、インプラントが生着しなくなるからです。
インプラントは骨に埋め込みますから、骨に十分な厚みがないと、インプラントをしっかりと埋め込むことが出来ません。
お口全体の衛生状態が清潔に保っていることも大切です。
歯をきれいに磨けていないような方には、抜歯即時インプラントは適していません。
歯ぎしりや食いしばりの癖があると、過度な力が歯やインプラントにかかってきます。
特に、インプラントは骨に直接埋め込むために、歯ぎしりや食いしばりによって過剰な力がかかると、耐えられないこともあるので、こうした癖がある方には適していません。
歯並びが悪く、噛み合わせのバランスが良くない状態にあると、インプラントに不均等に力がかかってきます。そのため、インプラントに適さない横方向への過剰な力がかかると、インプラントが耐えられなくなることもあります。
ですから、噛み合わせのバランスが整っていることも大切な条件です。
抜歯即時インプラントの方法
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①局所麻酔
抜歯するために、局所麻酔の注射を行ないます。
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②抜歯
抜歯鉗子などを使って、歯槽骨に侵襲を加えないように注意深く抜歯します。
そして、抜歯してできた穴に感染源となるものが残らないように、内部をきれいにします。
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③形成
インプラントを埋入するために、少し骨を削って抜歯してできた穴の形を整えます。
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④インプラントを埋め込む
インプラントを埋め込みます。
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⑤人工骨を入れる
インプラントを埋め込むと同時に、人工骨を充填します。
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⑥縫合
インプラントに覆いかぶせるように歯ぐきを縫い合わせます。
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⑦被せものを入れる
インプラントを埋め込んでから、3〜6ヶ月ほど安静を図り、インプラントの周囲に骨が再生してインプラントと骨が結合するのを待ちます。
その後、上部構造とよばれる被せものを装着して、噛み合わせを回復させます。
抜歯即時インプラントの特徴
抜歯即時インプラントの特徴について、メリットとデメリットの面から説明します。
メリット
抜歯して骨が落ち着くのを待ってからインプラントを埋入する方法ですと、抜歯してからインプラント手術を受けるまで1〜2ヶ月ほどかかっていました。
それと比べると、抜歯と同時に埋め込めるわけですから、治療期間を画期的に短くできます。
抜歯と同時にインプラントを埋入しますので、手術が一度ですみます。
手術が好きな人はまずいないことでしょうから、手術を一度で済ませられるのは、大きなメリットです。
インプラントを埋め込むために、歯ぐきを切開したり、剥離(剥がすこと)したりしなくてすむ場合が多いです。
抜歯した後に骨が再生してからインプラントを埋入する場合、骨にインプラントが入るだけの穴をあけなければなりません。
一方、抜歯即時インプラントでは、抜歯してできた穴を利用してインプラントを埋め込みますので、骨を削る量が少なくてすみます。
歯を支えている歯槽骨は、歯が無くなるといらなくなるので、抜歯してから半年ほど立てば、3割ほど減少するといわれています。
抜歯即時インプラントなら、抜歯と同時にインプラントを埋め込みますので、治療が終わった後に歯槽骨が減少しにくくなるという利点があります。
抜歯即時インプラントなら、普通のインプラント治療と比べて、骨を削る量も少なく、歯ぐきの切開もいらないことから、手術後の痛みや腫れが少なくてすむ傾向があります。
デメリット
抜歯即時インプラントは、抜歯と同時に埋入するインプラントです。
抜歯しなければならない理由のほとんどは、むし歯や歯周病です。
むし歯や歯周病は、細菌感染によって生じる病気です。抜歯した後に、これらの細菌を徹底的に取り除いておかなければ、インプラントに細菌感染が生じ、インプラントが外れてしまう原因となってしまいます。
抜歯即時インプラントを成功させるには、一定の条件があることは説明しました。
つまり、どんな方でも抜歯即時インプラントが受けられるわけではありません。
まとめ
抜歯即時インプラントは、抜歯と同時にインプラントを埋め込むインプラント治療です。
一般的なインプラントと比べて、治療期間が短縮できたり、術後の痛みや腫れが少なくてすんだり、骨が減りにくいなど、多くのメリットがあります。
しかし、その一方、どんな方にでもできる方法ではありません。
抜歯即時インプラントはメリットも多いので、インプラント治療を検討しているなら、一度主治医の歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか。